新しいMacBook AirやMacBook Proを買うとしたらメモリは8GBにすべきか
2015年6月13日
この記事を書いたのはもう2年半も前ですが、未だに多くのアクセスがあります。本記事に書いたことは今販売されているMacについても当てはまることです。参考にしていただければと思います。
また最近はMacBook Proでも購入後にメモリの増設ができないようになっていますので、MacBook Proを買おうとしている方にも役立つかと思います。
2013年6月11日追記
新型の MacBook Air が発表されましたね。今回の MacBook Air では特に重要なシステムの変更はないようですが、すでに出回っているいくつかのベンチマーク結果によれば、SSD速度が大幅に向上したようです(公式サイトでもそのように伝えられています)。
本記事の下の方の「オマケ:そもそもなぜメモリが大量に必要なのか」で触れましたが、SSDの速度が早ければ早いほど、メモリを増設するメリットは小さくなっていきます。
しかも8GBへの増設は10400円と、かなり値上がりしているようです。僕も購入を考えているのですが、増設をしない、という選択肢は割と現実的かもしれません。
本当に4GBでは足りないのか?
ここ最近のMacBook Airでは、購入時にメモリを8GBまで増設できるようになりました。僕もそのうち買いたいと思うのですが、8GBにしようかしまいか悩むところです。
実際にそれでお悩みの方は結構いると思いますので、本当に必要なのか実験を行なってみました。特にMacBook Airは購入後にメモリの増設ができないので、4GBのままで良いか8GBにするかは購入時に決める必要がある。ただ8GBにすると8800円(追記:今年6月発売のMid2013では10400円)かかるし、これは重要な問題です。
(こちらのページも合わせて読んでもらうと分かりやすいかと思います→MacBook Air を快適に使うためには メモリ(RAM)は 4GB で足りる?それとも 8GB 必用? | MacBook Air とWordPressでこうなった)
本当に足りないのか実験をしてみる
少しググれば分かるかと思いますが、いろいろなブログでは割と無根拠に「8GBにすべき」「4GBでは足りない」と言っている感じがあります。「やはり8GBにしないと新型MBAを買う意味がない」みたいに書いている人もいますが、基本的にそんなことはないはずです。4GBでも十分足りる人もいるはずです(じゃなかったら4GBの構成で売られていること自体がおかしい)。
そこで、自分のMacの使い方では8GBにすべきかどうか、一応実験をしてみました。Windows PCにも当てはまるとは思いますので、Windows使いの方も一応読んでみてください。
自分はいまMacBook Pro (13inch Mid2010)を持っているのですが、HDDはSSDに換装して使っています(MacBook Airの補助記憶装置もSSDです)。またメモリは8GBにして普段使っているのですが、一時的にメモリを4GBに減らして重くなるのか実験してみました。
この状況で普段と同じ使い方をして、果たしてどれほど重くなるのかを確かめてみます。
結果としては
4GBでは案外重かったです。自分の使い方の場合は確かに8GBにする理由はあるようです。
まず、普通に使っているだけでスワップが9GBも発生していました(スワップ量はアクティビティモニタの「システムメモリ」で「スワップ使用領域」から確認できます。スワップとは何か、なぜスワップが問題になるのかについては、この記事の下の方に書いてあります)。確かにこの状態だとGoogle Chromeで1つ新しいタブを開くのにも若干もたつく感じです。新しいタブで何かページを開くごとにかなりのページイン(スワップ書き込み)が発生しています。とは言えさすがにSSD、どうしても耐え難いという重さでもありませんでした。
ただ一方で、僕のMacの使い方はかなりひどい方で、かなりの数のアプリケーションを同時起動していたりします。
下の追記にも書きましたが、普段からかなりメモリを消費するような使い方をしている人は、8GBにすることをおすすめします。
少なくとも普段「メールを開きながら、ネットを見つつ、音楽をかけて、文章を書く」くらいしかしない人であれば、まず4GBで十分でしょう、という気がします。おそらくそれでもまだ余裕はあるはずですので、これにもう少し重い作業を加えてもモタつきなく動くとは思います。
結論としては、普段からメモリを大量に使っていて、かつ、「モタつき」がかなり気になるほうである方の場合は、メモリを8GBにする方が良いでしょう。もちろん「モタつき」を改善するのに8800円(追記:Mid2013では10400円)の価値があると思えば、ですが。
2013年2月1日追記
(結構「MacBook Air 8GB 足りる」などで検索してくる方がいらっしゃるので、追記しておきます。)
なんか上の考察ではあまりにも当たり前な結論になってしまいますが、PCのスペックを考えるときの最適解って、結局「用途は何か」に尽きるんですよね…上記のように「普通のつかいかた」をするのであれば4GBでまず不足することはないでしょう。僕自身はプログラミングをしたり画像処理をしたりかなり重い作業をしょっちゅう同時動作させているので、まず4GBでは不足することでしょう。
ではその境目はどこなんだ、ということが重要なのでしょうが、この評価に関しては少なくとも、「根本的に4GBでは足りない作業をしているのか」という観点に加えて、「あなたがどのくらいPCのモタつきに耐えられるか」という要因も絡んできます。
どちらについても、実際に実験してみないとわからないでしょう。境界は非常にファジーです。
ただ何の基準もないとやっぱり不安になるものです。そこで、あくまで僕の経験則ですが、一応基準的なものを書いてみます。以下に2つくらい当てはまる場合は、8GBにしたほうが良いでしょう。
- インターネット、メール、文書作成、音楽再生以外のアプリケーションを、常時5つ以上起動している
- Adobe製品を使う
- 仮想OSを走らせている
- プログラミングなどで何らかの開発を行なっている
- CAD、画像処理、映像処理を行なっている
ちなみに自分が同時起動しているアプリケーションは
多い時では、次のようなアプリケーションを起動しています。このくらい起動していると、まず8GBでは足りないでしょう。というかChromeでタブ40個開けば1GB〜2GBは食いますし、結構キツい気はします。
- Google Chrome(タブは常時40ほど)
- 夜フクロウ
- Echofon
- ターミナル
- Coda2
- Evernote
- CotEditor
- Photoshop
- Illustrator
- iTunes
- Microsoft Word/Excel
- TeXShop
- SourceTree
常駐しているアプリケーションは
- BetterTouchTool
- Dropbox
- KeyRemap4MacBook
- XtraFinder
- ShiftIt
- その他MySQLやApacheなどの各種サーバー類
ちなみにChromeでここまでタブを開いているのは、何かペーパーを書いているときに論文やら統計資料やらを開きっぱなしにしてるからです。
もっともMacを開いている時は常にペーパーを書いている、というわけでもないので何かいい方法はないかと思っていたら、どうやら「すべてのタブをブックマークに追加」という機能があるようなので、作業をしていないときはこれを使ってとりあえず保存しておくといいかもです。
2015年3月2日追記
そもそもメモリが少ないのにChromeを使っているのはどうか、という指摘をいただきました。確かにその通りです。Chromeがメモリ大食いタイプのブラウザであることは周知の事実です。
普段用いるソフトウェアを変えたり、使い方を変えたりする(例えば、タブを開きまくったりしない)だけで、メモリを増強せずともMacを快適に使える可能性は十分にありえます。結局メモリを大量に使わなければメモリ容量が少なくても何の問題もないわけです。
そういった意味で、僕の例では、そもそもメモリを大量に消費するようなMacの使い方になっている、という点は的確な指摘です。
ただじゃあなんで僕がChromeを使っているのかというと、それはChromeが一番自分に適したUXをしているから、というだけの理由です。これは重いとか軽いとかいった問題とはまた別の問題です。重さを我慢してでも使いたいものであるならば、言い換えれば、モタつきに耐えてもよいと思うならば、モタつこうがなんだろうが使うわけです。
オマケ:そもそもなぜメモリが大量に必要なのか
そもそも「メモリが足りない」とはどういうことでしょうか。何を基準に足りるか足りないかを議論したらよいのでしょうか。
PCの内部には、記憶装置として「主記憶装置」と「補助記憶装置」が存在しています。
通常のPCの場合、高速に読み書きのできる一方容量の小さい「メモリ」と、メモリより読み書きは遅いが容量の大きいHDDあるいはSSDが登載されています*1
メモリは「主記憶装置」、HDDやSSDは「補助記憶装置」と呼ばれています。通常のPC上では、補助記憶装置にあるアプリケーションデータやその他扱うデータなどがまず主記憶装置(メモリ)に読み込まれ、主記憶装置上にあるデータに対してCPUが処理なり演算を行っているわけです*2。
最近のPCの場合、「PCが重い」というのは大体が補助記憶装置たるHDDアクセスの遅さです。補助記憶装置(HDD)から主記憶装置(メモリ)にデータを読み込んだり、あるいは逆に主記憶装置で行ったデータを補助記憶装置に書き込んだりするところがボトルネックとなっていて、そこが遅いと、「PCが重い」と感じられるわけです。
ただ、補助記憶装置としてHDDの10〜20倍程度のアクセス速度を持つSSDが積まれているMacBook Airでは、そこまで重くなるのでしょうか。
先に述べたように、通常のPCではメモリ(=主記憶装置)の容量は小さく、作業中の全てのアプリケーションやデータを展開しておくほどの容量は通常ありません。すると、色々作業していてメモリが不足してくることがあります。この問題を解消するために、通常のOSでは、メモリ上にあってしばらくアクセスのなかったデータやアプリケーションを補助記憶装置に一度退避させる処理を行います。この処理は「スワップ」と呼ばれています。
このスワップが度々行われるのであれば、それだけ補助記憶装置へのアクセスが多くなるわけですから、そこがボトルネックとなって「PCが重い」と感じるわけです。
言ってしまえば、どんなにメモリが少なかったとしても、補助記憶装置さえ早ければ問題ないわけです。ただ、やはりメモリの方がSSDより数十倍〜百倍近くアクセス速度は早いので、現在のSSDの性能であったとしてもメモリは多ければ多いほどPCが重くなる可能性は減る、ということになります。
しかしそうは言ってもSSDは結構早いため、メモリが少なくてスワップが大量に発生したとしても、そんなに重くならないんじゃないか、というのが今回の実験の仮説でした。
ただここで1つ注意すべき点があります。メモリの容量を増やせば増やすほど、補助記憶装置内のスワップ用領域がどんどん大きくなっていきます。メモリを8GB積んであれば、補助記憶装置内にあらかじめ8GBの領域がスワップ用に予約されるわけです。これは容量あたりの単価が高いSSDにとってはかなり痛手になります。
ただし、このスワップ領域の最大容量は任意の値に設定も可能ですし、OSや設定によってはスワップが発生しない限りはスワップ領域は0のままなのかもしれません。この辺りについてはご自身でご確認ください。
ところで
MacBook Airって、光デジタル音声出力ができないんですよね。ここまで長々と書いておきながら、この理由でMacBook Airを買わないかもしれません…
自分はいつもMacBook Proから光でコンポに出してデカいスピーカーで音楽聴いてるんですが、それができないとなるといろいろと考えることが増えそうです…音楽再生はProにまかせてAirはその他の作業用にするか…Air用のオーディオ・インターフェースを買うか…
2013年10月29日追記
「主記憶装置」と記載していたところは、「補助記憶装置」の誤りでしたので修正しました。コメントでのご指摘ありがとうございます。